第283回 損益計算書よりも貸借対照表をよく見ましょう。

貸借対照表

高橋洋一さんの本にあるように、会社の実態を把握するには損益計算書(PL)よりも貸借対照表(BS)が大事です。かつて大野城市の各事業のコンサルを数年していたことがありますが、見せられるのは収支、PLばかりでした。

会社の状況・実態はBSを見なければわかりません。複式簿記なので、PL科目の損益は、相手勘定である資産・負債に反映します。粉飾をすれば、PLだけ見ても判りませんが、BSに跡が残ります。例えば、在庫を過大計上して利益を計上すれば、在庫が不自然に増加します。前期比較だけではわからなくとも、5期など推移をみると徐々に増えていることが判ったりします。営業マンの不正は、売掛金が増えていくことにより気付くことがあります。BSを無視してPLを作るとなると(計画など)、いくらでも作文ができます。

極端なことを言えば、帳簿をつけてなくても、儲かっているかどうか判ります。預金通帳の残高が増えていれば儲かっているということです。反対に預金残高が減ってきて資金繰りが苦しくなってくるというのは儲かっていないということです。借入金の返済で減ることもありますので、それは考慮しなければなりませんが、返済用の通帳と、営業債権債務の決済、経費の支払い等の通帳と分けておけば、よりハッキリします。さすがに通帳残高をいじることはできません。

個人の確定申告では、青色申告で正規の簿記の原則に則って記帳していれば、65万円控除が可能です。いわゆる複式簿記で記帳しているか否かです。今は会計ソフトがありますので、出納帳を入力するイメージで勝手に仕訳してくれます。複式簿記といってもピンときませんが、要は貸借対照表を添付しているかどうかです。複式簿記で記帳していればBSが出来上がるハズです。そのためBSを添付し忘れると65万円控除が否認されますので、気をつけましょう。期限後に提出しても認められません。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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