欠損金の繰越期間が10年に 第187回 

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

欠損金の繰越期間については、以前は5年でしたが、平成13年4月1日以後に開始の事業年度からは7年に延長になっています。

更に平成20年4月1日以後に終了する事業年度からは9年に延長されていました。

その後、平成28年度税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年とされています。これに伴い、法人税の別表七の事業年度の欄は10年分の10行です。

ただし、中小企業等(資本金1億円以下の法人)以外の上場会社や、上場会社の子会社等の場合、控除出来る金額は所得金額の100%ではありません。

平成29年4月1日~平成30年3月31日開始事業年度では、所得金額に対して100分の55を乗じた金額が控除限度額となります。

平成30年4月1日以降、開始事業年度からは所得金額に100分の50を乗じた金額が控除限度額となります。

ただし、更生手続開始の決定があった法人等や新設法人の場合は全額控除できます。新設法人の場合は普通法人に限り、100%子会社や株式移転完全親法人の場合は全額控除とはなりません。

また、平成27年度税制改正において、帳簿書類保存要件における保存期間を、10年に延長する改正が行われており、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額から適用することとなっています。

帳簿書類等の保存期間については、原則、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりませんが、欠損金の生ずる事業年度においては、帳簿書類の保存期間が10年になっています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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