元気ですか! 福岡市の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。
平成19年12月27日に企業会計基準第15号として「工事契約に関する会計基準」が公表されています。
工事契約に関して、「工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する」とされています。
成果の確実性が認められるためには、①工事収益総額、②工事原価総額、③決算日における工事進捗度の要素について、信頼性をもって見積ることができなければなりません。
ただし、平成27年4月30日に公表された「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」では、「工事進行基準では、一般的に会計上の見積りの不確実性の程度が大きく、会計上の見積りに関する重要な虚偽表示リスクが高くなることが多い」とされており、虚偽のリスクが高い処理となります。
税務上では、平成20年税制改正により、①工事期間1年以上、②請負対価10億円以上、③請負対価の2分の1以上が目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないこと、の全てを満たす場合に、工事進行基準が強制されます。中小企業ではほぼ関係のないレベルの話になります。
工事完成基準の場合、決算時には未成工事支出金を計上します。しかし、事務・経理が整っていないと、未成工事支出金の計算ができません。その場合、部分完成基準として、都度、売上を計上する処理となりかねませんので、現場別の記帳と、作業日報の整備が必要です。