65万円の青色申告控除 第276回

確定申告

今日は令和4年3月15日です。確定申告の締切日です。昨日、国税庁のe-Tax(電子申告システム)がシステムダウンして夕方から電子申告ができない状態でした。慌てて税務署に最後の5件を持ち込みましたが、紙で提出すると65万円控除は使用できず、55万円控除になるとの説明です。国税庁のシステムがダウンしたための手持ちと説明してもダメでした。改めて、今日の早朝にやっと電子申告できました。

青色申告控除には10万円、55万円と65万円があります。55万円控除受けるためには、①不動産所得または事業所得を営んでいること、②正規の簿記の原則により記帳していること、③貸借対照表及び損益計算書を添付することとなっています。ここで現金主義による記帳では55万円控除は受けることができません。

不動産所得では事業的規模であれば55万円控除または65万円控除が適用されます。事業的規模の基準としてアパートの場合は10室以上、家屋の場合は5棟以上が示されています。また、国税庁のQ&Aでは、事業的規模でない小規模な不動産の貸付と事業所得を生ずべき事業を兼業している場合には、55万円控除又は65万円控除の適用が受けられるとあります。

65万円控除は、これら55万円控除の要件にプラスして、次のいずれかに該当している必要があります。

① 仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存をしていること

② 確定申告書の提出期限までにe-Taxを利用して申告すること

電子帳簿保存は令和4年からは事前承認が不要になりました。が、今回の令和3年分は①の要件は満たしていないので、②の要件を満たす必要があります。ところが3月14日に国税庁のシステムが反応しなくなり、期限内に電子申告できるかが怪しくなってきて、焦りました。

3月15日になって、国税庁のHPに「e-Tax の障害により期限内の申告が困難な場合には、本日中に書面により提出していただくか、個別に申告期限を延長して、後日提出していただくことができます」と告知されました。後日提出の場合は、申告書に「e-Tax の障害による申告・納付期限延長申請」を記載していればよいとなっています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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