第284回 令和4年度税制改正 上

税制改正

令和4年度税制改正で、中小企業、個人に関係するものは、法人税の賃上げ促進税制と、個人所得税の住宅ローン控除の見直し、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の見直しぐらいです。

今回は、そのうちの中小企業者等の賃上げ促進税制についてです。中小企業者等とは、資本金1億円以下の法人です。令和4年度税制改正により、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する事業年度が対象となります。従来の所得拡大税制は税額控除の控除率が最大で25%でしたが、今回の改正により控除率が最大で40%となり、適用期限が1年延長(令和6年3月31日)となりました。

適用要件は給与総額の増加率が、雇用者全体の給与総額の対前年度増加率1.5%以上であり、控除率を乗ずる対象は、雇用者全体の給与総額の対前年度増加額となり、これは所得拡大税制から変更はありません。ここで注意することは、同族関係者は対象とはなりません。取締役はもちろん、通常の雇用者であっても対象から外れます。

控除率は基本は15%です。給与増加額に15%を乗じます。上乗せ分が、今回の改正により賃上げ率と教育訓練費の2つがあります。まず一つが、雇用者給与等支給額が前年度と比べて2.5%以上増加していれば、控除率は更に15%プラスされ、30%の控除となります。

もう一つは、教育訓練費の額が前年度と比べて10%以上増加していれば、控除率が10%プラスされ、合計で40%の控除率となります。経営力向上要件は廃止されています。従来は、申告書に教育訓練費の明細書の添付が必要とされていましたが、改正後は明細書の保存でOKとなっています。

控除の上限額は当期の法人税額の20%までとなっており、ここは変更ありません。あくまでも税金を納税している会社が対象です。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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