第285回 令和4年度税制改正 下

税制改正

令和4年度税制改正のうち、個人所得税の住宅ローン控除の見直し、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の見直しについてです。

住宅ローン控除の見直しにいては、①2050年カーボンニュートラルに向けた対応、②会計検査院の指摘への対応が改正の背景にあります。「2050年カーボンニュートラル」とは「2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを目標にしています。

中間段階である2030年に目指すべき姿は、省エネでは、新築される住宅・建築物についてはZEH・ZEB基準の水準の省エネ性能が確保されること、再エネでは、新築される戸建住宅の6割において太陽光発電設備が導入されることとなっています。これに伴い、令和4・5年入居の場合、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円、いずれも満たさない場合は3,000万円の借入金が住宅ローン控除の対象となります。

会計検査院の指摘とは、現状の低金利の下、実際の住宅ローンの借入金利が住宅ローン控除の控除率である1%を下回っているということがあります。そのため、住宅ローンを組む必要がないのにローンを組んで控除を受けている事例があるとのことです。そのために控除率が1%から0.7%に引き下げられます。ただし、控除期間を10年から13年に引き延ばすこととなっています。

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置が見直されています。適用年度は令和5年12月31日までと2年延長され、非課税限度額は一定の耐震性・省エネ性・バリアフリー性のいずれかの住宅は1,000万円になります。それ以外の住宅は500万円となります。受贈者の年令要件は従来の20才から18才以上に引き下げられています(令和4年4月以降)。金利は世界的には上昇傾向にあります。将来的には、控除率が実態から離れることも考えられます。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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