連結納税制度からグループ通算制度への移行 第266回

経費

令和2年度税制改正により、「連結納税制度を⾒直し、グループ通算制度へ移⾏」することとなっています。グループ通算制度は令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度から適用となります。

グループ通算制度は完全支配関係にある親子会社において申請が可能となります。完全支配関係とは、法人の株式の全部を直接または間接に保有する一定の関係です。従来から連結納税制度を選択している法人は、連結納税制度に代えて通算制度の適用を受けることになり、通算法人として申告することになります。子会社も同様です。

ただし、連結親法人が令和4年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の日の前日までに税務署長に「グループ通算制度へ移行しない旨の届出書」を提出した場合には、その連結親法人及び連結子法人は令和4年4月1日以後に開始する事業年度については連結納税制度及び通算制度のいずれも適用しない法人として単体申告を行うことができます。

もともと、連結納税制度は一度選択したら2度と元に戻れなかった制度です。株主が変わり、連結納税グループから外れることはありました。まさかグループ通算制度の導入によって連結納税制度がなくなるとは想定外でした。グループ会社がいずれも黒字であれば、中小企業の特例である800万円までの軽減税率を各社使用できた方が税務的に有利です。

また、連結納税制度を使用していると税務調査があまりないということがありました。1社修正すると、他の連結グループ全ての会社の税額計算に影響を与え、計算そのものが大変です。専用ソフトがなければ実質ムリです。そのことを解消するためにも、グループ通算制度を導入したとされています。

グループ通算制度では、親会社も子会社も各社、法人税の申告をしなければなりません。修正があれば、その1社のみで済みます。税務署からの資料には記載がありませんが、税務調査への環境整備ともいえそうです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

山崎 隆弘をフォローする
経費
シェアする
山崎 隆弘をフォローする
福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
タイトルとURLをコピーしました