第392回 令和7年度税制改正 103万円の壁が160万円へ

税制改正

令和7年度税制改正が3月31日に参議院で可決・成立し、4月1日から施行されています。令和6年12月27日に発表された「令和7年度税制改正の大綱」に沿ったものとなりました。そのうち、所得税の改正について見てみたいと思います。

合計所得金額が2,350万円以下であれば、基礎控除が48万円から58万円と10万円プラスとなります。更に4つに分かれます。まず、①合計所得金額が132万円以下であれば、プラス37万円の95万円の基礎控除となります。

次に、②132万円超336万円以下であれば30万円プラスの88万円の基礎控除、③336万円超489万円以下であれば10万円プラスの68万円の基礎控除、④489万円超655万円以下であれば5万円プラスの63万円の基礎控除となります。①の加算は恒久措置ですが、②③④の加算は令和7、8年分の時限措置で、令和9年分以後の基礎控除は加算なしの58万円に戻ります。

給与所得控除についても改正があります。改正前は給与収入が162.5万円以下であれば55万円の給与所得控除でしたが、改正後は190万円以下は65万円の給与所得控除となります。給与所得収入が160万円の場合、給与所得控除65万円を差し引いて95万円の合計所得金額になり、基礎控除95万円を引いて所得はゼロとなります。103万円の壁が160万円に上がりました。控除額の引き上げは29年振りです。

高橋洋一さんの『世界インフレ時代のお金の常識・非常識』によれば、諸外国の控除額は、アメリカは基礎控除61万円、給与所得控除は最大219万円の計280万円もあります。イギリスは給与所得控除がなく基礎控除だけで214万円、ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除20万円の計163万円、フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円の計168万円です。そもそも日本の103万円という控除額が低すぎました。

日本の報道では、日本の控除額が低すぎることは報じられず、103万円の控除額の引き上げで自治体税収が減るとの批判でした。減税だけを批判する報道は、増税への布石とのことです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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