第412回 赤字になる会社の特徴

キャッシュを残す経営

福岡では天神ビッグバンの影響もあって、特に建設業は景気がよく、また建設業に限らず製造業などでも、過去最高利益を計上する会社が続出しています。一方で、売上は増加しているけれども、なかなか利益が出ない会社もあります。利益がでなければ税金は無税とはなりますが、赤字分、キャッシュが減るということですので、年々、金融機関からの借入金が増える結果となります。財務体質が強化されません。

さまざまな会社をみていて、赤字になる会社の特徴、共通点が見えてきます。まず、1つは売上が増加しても、同程度、それ以上に経費も増加する会社です。得意先が増え、社会的な信用を獲得してきて、そこそこ売上高は増えてきます。ところがその分、固定費が増加して思うように利益が伸びません。人件費、賃借料、減価償却費などの固定費が増えると、損益分岐点すなわち固定費を回収できる売上高が高くなります。

また、外注費、売上原価などの変動費が増えて、限界利益率が低くなってきます。限界利益とは売上高から変動費を差し引いたものです。限界利益÷売上高が限界利益率です。この限界利益率が低くなると、損益分岐点が高くなります。利益を出すためには、売上高を高く、経費を低く抑えなければなりませんが、赤字会社は売上高に比例して経費も増えていきます。売上は売上、経費は経費と分けて考える必要があります。これだけ増えたから経費もこれだけ増やそうとすると、いつまで経ってもキャッシュは貯まりません。

もう一つ、特徴として、せっかく経費を削減しても、その代わりに違う経費を増やそうという思考だとキャッシュは増えません。社長さん方と打合せをしていて、黒字に転じない、黒字でも黒字の金額が増えない会社の特徴です。よくよく考えると、結局、税金がもったいないという考えなのかなと思ってしまいます。会社ではなく個人の家計簿でも同様です。

これからAI時代を迎えます。売上高が増えても、人件費は増やさない、逆に経費は減らしていくことを考えなければいけません。そうでなければ、何年経営してもキャッシュが残らない、借入金が減らない状況となってしまいます。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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