表彰等の源泉所得税 第221回

源泉所得税

元気ですか! 福岡市天神の公認会計士・税理士の山崎隆弘です。

近年、税務調査の件数が増えているような実感があります。先週も今週も、税務調査の立会でした。調査官の人に伺うと、税務署の人事異動があった6月末から、税務調査の連絡をするようになったとのことです。以前は8月くらいからの連絡だったのものが、明らかにスタートが早くなっています。

最近は、税務署に入りたての20代の調査官が増えてきました。署内で研修するよりも、実地の税務調査の件数を増やしていく方針だそうです。若い人が一人で調査に見えられることが多くなっています。

調査の際に必ず問題になるのが源泉所得税です。通常の給料・賞与に対しての源泉所得税は、「源泉徴収税額表」に添って源泉していきます。弥生給与等のソフトで計算すれば自動計算で源泉所得税を差し引くので、ほぼ間違いはありません。

俎上になるのは、永年勤続や営業成績などでの表彰される際に受け取る現金、商品券等です。商品券やクオカードは換金性が高いので給与として取り扱われます。なので、所得税の対象となり源泉所得税を差し引かなければなりません。

社長としては金一封として現金を手渡したいところです。ただ実際に源泉所得税を計算すると、数万円に対する源泉所得税は少額になるので、逆に細かいことはキッチリ計算しておくと安心です。

旅行券は、実際に1年以内に旅行したという実績があれば、給与としてはみなされないとのことです。その際には、1年以内に消化したという管理が必要です。

調査でそのような源泉所得税を指摘された場合、会社は源泉税を税務署に支払いますが、さすがに社員に後から請求するのは憚られます。損金にもなりません。

今回、グロスアップ計算というものを知りました。源泉後の金額を社員に支払ったとして、源泉徴収票から年間の所得税を計算し直します。その金額を納税すれば給与として損金に認められるというものです。納付した年度に給与として損金に認められることになります。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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