第322回 令和6年度税制改正 法人税

法人税

令和6年度税制改正の大綱が、令和5年12月22日に閣議決定されました。そのうち、法人課税についてです。

賃上げ促進税制が強化されます。当初は所得拡大税制と言っていましたが、令和4年度より賃上げ促進税制となり、より簡便に適用できるようになっています。令和6年度税制改正では、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始される各事業年度が対象となります。3月決算では、令和7年3月期から令和9年3月期までです。

賃上げ促進税制は、大企業向け、中小企業向けとありましたが、新たに中堅企業向けが新設されています。中堅企業向けとは、従来の大企業のうち従業員が2,000人以下の法人が対象です。ここでは、資本金1億円以下の中小企業向けを取り上げます。

中小企業向けについては、基本は従来と変わりません。全雇用者の給与等支給額が、前年比1.5%以上増加の場合は、給与等支給額の増加額に税額控除率15%を乗じて計算したものが税額控除額になります。同様に前年比2.5%以上増加の場合は、税額控除率が30%となります。ただし、法人の役員及び役員の6親等内の血族、配偶者はこの計算からは除かれます。

上乗せ要件の①として教育訓練費が前年比5%以上増加していれば、税額控除率が10%上乗せとなります。これは新設となります。

新設の上乗せ要件の②として、子育てとの両立・女性活躍支援として、「くるみん」以上または「えるぼし」二段階目以上の場合は、税額控除率が5%上乗せされます。ですので、最大で45%の税額控除率となります。ここで「くるみん」とは子育てサポート企業として厚労省が認定したものです。

中小企業の場合、要件を満たす賃上げを実施した年度が赤字のため控除しきれなかった金額は、5年間の繰越が可能となっています。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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