第315回 インボイス制度による会計処理方法

消費税

令和5年10月1日、予定通りインボイス制度が始まりました。タクシーの運転手さんから、うちの領収書には登録番号がついていますと、開始日に2回も自慢されてしまいました。病院のような消費税とは無縁のところ等からも、ウチは登録しなくても大丈夫でしょうか?という問合せがあるほど、世間的な関心は高いようです。

会計処理は、自社の消費税の課税方式が原則課税なのか、簡易課税なのかで異なってきます。弥生会計での入力をベースにみてみましょう。

原則課税の場合、「請求書区分」「仕入税額控除」の2つの欄が新たに加わっています。「請求書区分」では、「適格」または「区分記載」を選択します。取引先がインボイス登録をしている場合は「適格」を、登録していない場合は「区分記載」を選択します。「適格」であれば仕入税額控除が100%できますので、「仕入税額控除」の欄に「100%」と表示されます。「区分記載」とは本体と消費税を区分記載するということで3年間は「80%」と表示されます。

令和5年10月1日から3年間は、取引先がインボイス登録事業者でなくても80%が仕入税額控除できます。その後の3年間は50%控除が認められています。通算6年経過した後は仕入税額控除はゼロとなります。

簡易課税制度や2割特例を選択する場合は、仕入税額控除にインボイスの保存は不要となっています。なので、従来通り、税率10%または軽減税率8%なのか、非課税仕入、対象外の区別をしての会計処理となります。インボイス対応の領収書が不要というだけであって、今まで通り、領収書、請求書等は当たり前に保存が必要です。

2割特例とは、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった場合、納税額を売上税額の2割とする特例です。令和8年9月30日が属する期まで適用されます。ということは8月決算の場合が最長となり、3年11ヶ月適用されることになります。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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