第324回 所得税の定額減税

税制改正

令和6年度税制改正により所得税が定額減税される予定です。大綱に沿った法案が成立し施工された場合は、令和6年度の所得税から定額減税が実施されます。定額減税の対象となる人は、令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下の人です。中小企業のサラリーマンなどはほぼ該当することになります。

定額減税額は本人30,000円と、同一生計配偶者及び扶養親族一人につき30,000円です。ここで同一生計配偶者とは、青色事業専従者を除き、合計所得金額が48万円以下の人となります。扶養親族は、所得税法上の控除対象扶養親族だけでなく、16才未満の扶養親族も含まれます。なので、夫婦に小さな子ども2人の家族の場合、30,000円(本人)+30,000円×3名(同一生計配偶者と扶養親族)=120,000円が減税額となります。

給与所得者に対する定額減税は、扶養控除申告書を提出している給与所得者(甲欄適用者)に対して、給与等を支払う際に、源泉徴収税額から定額減税額を控除します。

給与支払者は、月次減税事務と年調減税事務を行うことになります。月次減税事務とは、給与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務をいいます。年調減税事務とは、年末調整の際に、定額減税額に基づき精算を行う事務をいいます。

月次減税事務では、令和6年6月1日以後最初に支払う給与等に対する源泉徴収額から月次減税額を控除します。控除しきれない部分の金額は、翌月以降の給与等に対する源泉徴収額から順次控除していきます。扶養控除等申告書に記載していない同一生計配偶者や16才未満の扶養親族については、最初の月次減税事務を行うときまでに、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けることで、月次減税額の計算の人数に含めることができます。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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