第326回 交際費の金額基準が5,000円から1万円に変更

税制改正

令和6年度税制改正において、交際費等の損金不算入制度について、従来、5,000円以下は会議費で処理していたものが、令和6年4月1日以後に支出する飲食費であれば、「1万円基準」を適用することができるようになります。1人当たり5,000円以上であれば、交際費で処理していたものが、今年の4月1日以降の支出から、1人当たり1万円以下のものは会議費として処理することができます。

令和6年度与党税制改正大綱「第一 令和6年度税制改正の基本的考え方」では、飲食費の金額基準の引上げは、飲食料費に係るデフレマインドを払拭する観点等から実施されるとしています。最近は飲食費の値上げがすさまじく、ちょっとした料亭では、1人1万円は当たり前、2~3万円を支払うことも珍しいことではなくなりました。

交際費等の損金不算入制度について、交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準の引上げ(1人当たり1万円以下)と共に、接待飲食費の50%損金算入特例と中小企業の定額控除限度額(年800万円)の特例の適用期限を令和9年3月31日まで3年延長されます。

資本金1億円超100億円以下の大企業の場合、飲食費(1人当たり1万円超)の50%が損金算入となり、半分が損金不算入となります。中小企業の場合は、800万円までは損金算入ができ、あるいは接待交際費の50%損金算入の特例との選択が可能です。

同改正は、事業年度ベースで適用とされた過去の交際費関係の改正とは異なって、支出ベースでの新法適用となります。3月決算法人以外の法人であっても、本年4月1日以後に支出する飲食費であれば、改正後における飲食費の「1万円基準」を適用することができることとなります。例えば、12月決算法人の場合、来期を待つことなく、今期の中途である本年4月1日以後に支出する飲食費から「1万円基準」を適用することができます。

早速、4月の記帳から変更となりますので、気をつけましょう。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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