第394回 令和7年度税制改正 下 特定親族特別控除の新設

税制改正

扶養親族の合計所得金額の要件が10万円引き上げられたことで、扶養親族の合計所得金額が58万円以下であれば扶養控除を適用できるようになりました。配偶者控除は改正前は48万円以下の合計所得金額すなわち給与収入が103万円以下であれば配偶者控除38万円が受けられました。改正後は合計所得金額が58万円以下すなわち給与収入が123万円であれば配偶者控除38万円が受けられます。
今回の改正により「特定親族特別控除」が新設されました。従来より、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満を特定扶養親族となっており、扶養控除63万円を受けられました。特定扶養親族で合計所得金額が58万円超123万円以下まではその所得金額に応じて、63万円から3万円の範囲で控除額が逓減する控除を受けることができます。
基礎控除の改正に伴い、ひとり親の⽣計を⼀にする⼦の総所得⾦額等の合計額の要件が58万円以下(改正前:48万円以下)になり、勤労学⽣の合計所得⾦額の要件が85万円以下(改正前:75万円以下)になります。
基礎控除などこれら所得税の改正は、いずれも令和7年度から適用となります。令和7年の毎月の給与等に係る源泉徴収事務は、改正前の令和7年分の給与所得の源泉徴収税額表等を使って行い、給与所得の源泉徴収税額表等の改正は、令和8年1月1日以後の給与等に適用となります。そのため、令和7年分について給与所得者の場合は、年末調整で改正制度が適用されることになります。
令和7年度の年末調整では、改正により新たに扶養控除等の対象となった親族等がいないか確認し、新たに対象となった親族等がいる場合は「扶養控除等申告書」を提出してもらいます。特定親族特別控除を適用する場合、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出を受ける必要があります。
そして、改正後の基礎控除額や給与所得控除額等に基づき、年末調整の計算を行うことになります。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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