第395回 防衛特別法人税の創設

税制改正

令和7年度税制大綱では、「我が国の防衛力の抜本的な強化を行うために安定的な財源を確保するという観点から、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について」検討した結果、今回の改正では、防衛特別法人税が新設されています。防衛特別法人税は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度からの適用となり、3月決算の会社では来期からの適用です。所得税については「引き続き検討する」となっています。

防衛特別法人税は、基準法人税額から基礎控除額500万円を控除した金額が課税標準となります。基準法人税額とは、所得税額控除や外国税額控除などを適用していない法人税額です。基準法人税額から500万円を控除しますので、納付額が生じる法人は限定されますが、申告義務については、法人の規模等を問わず全法人に生じることとなっています。

防衛特別法人税は、基準法人税額(所得税額控除等適用前の法人税額)から基礎控除額500万円を控除した課税標準法人税額に付加税率4%が乗じられる付加税率ですので、実際の税率は現在の税率に23.2%×4%=0.928%が足された24.128%となります。

防衛特別法人税は、基準法人税額が基礎控除額500万円以下の法人等には課せらませんので、中小法人などをはじめとする多くの法人には納付額が生じないことになりますが、これら法人であっても、防衛特別法人税の申告義務は生じ、防衛特別法人税の納付額がゼロであっても、いわゆる“ゼロ申告”をすることが必要となるとされています。

米国がトランプ大統領となり、紛争、戦争がなくなりつつあり(ウクライナは交渉中)、21世紀は戦争の時代ではなくなりそうに思えますが、防衛力の抜本的な強化を行うための改正だそうです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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