第313回 映画『福田村事件』

映画

オウムを内側から見た『A』『A2』、佐村河内守に密着した『FAKE』などのドキュメンタリー映画を撮ってきた森達也監督の初の劇映画作品です。

今から丁度100年前の1923年9月1日に発生した関東大震災で実際に起きた虐殺事件を描いています。公開は震災の日の9月1日です。森監督は、誰も演じてくれないのではと危惧していたそうですが、井浦新、田中麗奈の夫婦役に、東出昌大、永山瑛太、ピエール瀧などいわく付きの俳優が出演しています。瑛太はもっと自分の出番を増やして欲しいと要求するほどの意気込みだったそうです。

四国の讃岐から家族一同、瑛太を中心に15名で薬の行商のため、千葉県東葛飾郡福田村に来ていました。穢多(えた)として差別を受けていた人たちです。震災後、朝鮮人による日本人に対する殺戮が行われているという内務省からの通達により、村人はピリピリとしています。瑛太たちも商売を控えて、宿に留まっていました。木竜麻生演じる新聞記者は、自分が見たものを報道させてくれるよう、ピエール瀧演じる上司に食い下がります。

何もせずに15人が生活するには限界があり、旅行商たちは震災後5日経過後の9月6日に出発します。そこで、村人の自警団に呼び止められ、日本人かどうかを問い詰められます。そのうち、方言が通じず朝鮮人ではないかとやじられます。瑛太は逆に朝鮮人だったら殺してもいいのかと怒り、殺されてしまいます。続けて9人が殺戮されます。

残った6人は針金で縛られ、村人から責められていますが、そこで一人が「帰命無量寿如来」と称え、他の人たちが「南無不可思議光」と続きます。浄土真宗の「正信偈」です。まさに日本人でした。讃岐は妙好人の庄松さんで有名です。鳥肌が立ちました。

事件を追うだけでなく、井浦新、田中麗奈の夫婦の問題など、重厚なドラマとなっています。新聞が真実を報道しないという批判ともとらえれます。まさに今のコロナ・ワクチン騒動を彷彿とさせます。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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