『魔女の宅急便』の原作者で知られる角野栄子さんのドキュメンタリーです。2024年、元旦の誕生日で89才になっています。全く、おばあちゃんらしくありません。パッとに見て、30代~40代にみえます。昭和10年生まれで、終戦時には10才でした。戦争時は大変窮屈な時代だったので、そこから解放されたときには、この自由な気分はもう絶対に離したくないと誓います。
23才で結婚し、24才のときに夫婦でブラジルに移住します。生活習慣も店で売っているものも全く異なり、絶望します。窓を開けてブラジルの空気を吸い込んで、ここで生きていけると思ったそうです。当時、10才のルイジンニョ少年から、ポルトガル語を教えてもらいます。カーニバルではダンスに誘われますが、踊れないと断ると、コラソン(心)は同じだから踊れて、歌えるはずだと言われます。
帰国して、大学の恩師から物語を書くように勧められ、ルイジンニョのことなら書けるかもと『ルイジンニョ少年: ブラジルをたずねて』を出版します。2018年「国際アンデルセン賞」を受賞したとき、「ルイジンニョ」に会っていなかったら作家にはなれていないとスピーチしています。
89才の現在でも朝8時に起床し、10時から夕方までパソコンに向かって執筆しています。その後に迷子散歩に出かけています。ブティックを覗き、カフェでエスプレッソに砂糖2杯をかけて飲みます。
2023年11月3日には「魔法の文学館」がオープンされ、1万冊の児童書が読めるようになっています。そこになんと! 62年振りに再開したルイジンニョを招待します。60年間、音信不通だったのが、ネットでつながり、感激の再会となりました。
文学館は娘のりおさんがプロデュースしています。こういう風に年を取りたいと思わせられます。100才まで生きるからと、ルイジンニョに再会を約束する角野栄子さんでした。