第400回 映画『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』

映画

タイトルの後、「真実に基づく話」というテロップが入ります。福岡市で実際にあったお話しです。この原作本『でっちあげ 福岡殺人教師事件の真相』は、本屋さんで平積みされていましたので、10年前に買ってました。内容は全く知らず、いずれ読まなければと思っていたところ、映画化されたので観てみました。映画では名前は変えられていますが、原作では実名です。室見川の下流域に位置する小学校となっており、地元ですのでなんとなくどの辺か想像がつきます。

時系列は映画でも原作でも同様で、実際の時系列に沿っています。いじめられたという生徒の母親氷室律子(柴咲コウ)の裁判所での証言から始まります。2003年5月12日の家庭訪問からです。そして、担任の先生の暴力ついて証言が続きます。証言では、両耳を掴み身体を持ち上げる、鼻をつまんで振り回すなどの「刑」を息子にして、「お前なんか生きる価値がない、死に方を教えてやろう」と、飛び降り自殺を教唆したとのことです。

とんでもない野郎だなと観ていたら、藪下誠一先生(綾野剛)の証言は全く異なります。身に覚えのないことばかりで、校長先生、教頭先生は父親・母親の訴えをそのまま受け取り、イジメありきで藪下先生を責め、イジメを認めさせ、謝罪をさせます。当事者の藪下先生(仮名)は、父兄ともめてはいけないからと認めてしまいますが、それが「朝日新聞」で報道され、「週刊文春」で追求され、「殺人教師」としてテレビのワイドショーで叩かれます。映画では新聞、雑誌の名前は変えられています。

藪下先生は担任から外され、半年間の休職処分となり、親から5,800万円の損害賠償請求の裁判を起こされます。親の方の弁護団は500人で形成され、藪下先生には引き受ける弁護士がおらず、当初は一人でしたが、後に湯上谷弁護士(小林薫)が弁護につきます。裁判が始まり、真相が徐々に明らかになってきます。まさに驚愕の結末となっていきます。地元民でありながら、この事件のことは知りませんでした。福岡の映画館で観ましたが、珍しくほぼ満席でした。三池崇史監督はイメージが変わりました。主演の綾野剛が見事です。柴咲コウがとても怖かったです。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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