第405回 漫画『はだしのゲン』

書評

NHKの新プロジェクトXが2024年4月から放送されています。テーマ曲は中島みゆきの「地上の星」、エンディング曲が同じく「ヘッドライト・テールライト」です。この歌が聴きたくて観ているようなものですが、一つ一つ見応えがあります。1年半経っても放送中です。

2025年7月放送の『アメリカに渡った漫画~はだしのゲン~』を興味深く見ました。『はだしのゲン』は以前、買っておいてそのまま読まずに、引越の時にブックオフに持ち込んでました。なかなか漫画を読む習慣がないので、読むのに苦労します。

今回の新プロジェクトXでは、原爆の実態を知ってもらうために、1970年代にボランティアの人たちが英語に翻訳しています。まずは1巻を翻訳し、米国の出版社を回りますが、なかなか出版してくれません。やっと出版できたと思いきや、返品の山となります。それにもめげず、市民グループ「プロジェクト・ゲン」により全巻翻訳され、現在では25以上の言語に訳されています。さすがにこれは日本人として読んでおかなければ思いました。

文庫版を買い、今年の夏にに10日ほど入院している間に読破しました。原爆投下前の広島でのゲンの家族達の生活から始まります。両親と兄2人、姉、弟の6人家族が戦時中、父親は戦争に反対しながらも幸せに暮らしています。しかし、1945年8月6日に原爆が投下されます。原爆に伴う火事により、父親と姉と弟が目の前で焼け死んでしまいます。

原爆の直接の被害も大変ですが、原爆後の生活がまさに悲惨です。住む所も無く、知人の家に転がり込んでも、イヤがらせにより出ていかなければなりません。原爆症により、周りで次々と亡くなっていきます。原爆の後も地獄であったことがよく判ります。

救いは主人公のゲンがとても元気でめげないことです。次から次とこれでもかというくらいの逆境に襲われます。それでも、歌を唄い、明るく前向きに生きていきます。しかし、日本人としてどうしても怒りが湧いてきます。昨年『オッペンハイマー』が公開されましたが、クリストファー・ノーラン監督がキライになってしまいました。

この記事を書いた人
山崎 隆弘

山崎隆弘事務所所長
公認会計士・税理士

1960年福岡県生まれ。福岡市在住。29歳で公認会計士試験に合格。以来、中央青山監査法人(当時)で10年間勤務。会計監査、システム監査、デューデリジェンスに従事し、上場企業などの主査を務めるが、39歳のときに胆管結石による急性胆管炎を発症する。結石の除去に入退院を繰り返し、監査法人を退職。

1年間の休養後、41歳で父親の会計事務所に入所。44歳のときに同事務所を引き継ぎ、公認会計士事務所を開設。同時に妻二三代が入所。「ビジネスと人生を楽しくする会計事務所」がモットー。家族で踊る「会計体操」は、NHK・フジテレビ・KBC・RKB・読売新聞・西日本新聞など多数のメディアで取り上げられる。

著書に『年収と仕事の効率を劇的に上げる 逆算力養成講座』『なぜ、できる社長は損益計算書を信じないのか』。

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福岡市東区箱崎の公認会計士・税理士 山崎隆弘事務所
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