現在では、かなり正確な決算予測ができるようになっています

吉村商事株式会社様の本音インタビュー

事業承継をされ4年目の吉村商事株式会社の社長である吉村大輔様にインタビューさせていただきました。

先代である吉村彰博会長の時代より当事務所で連結申告をさせていただき、平成17年より連結納税を行って参りました。
その結果として、スムーズに事業承継することができました。ちょうど世代交代の時期であり、長年勤めた方々が定年を迎え、若い社員に変わったところでもあります。その社員様に向けて決算書の数字が読めるように、また利益を出すにはどうすればよいのかのセミナーをしてくださいとのことで、平成28年9月8日に研修をさせていただきました。

― ― 先日行った研修はどうでしたか?

社長:営業職なのに、どうしても内気になりがちなので、人間力がある人に育てたいと思っています。また、誰とでもコミュニケーションを取れるようになって欲しい。というのも、聞けば早く済むことを、聞くに聞けずにネットで検索をしているときがある。聞けば早いのに。

さらに、損益分岐点を理解して、営業として必要な分は自分を稼ぐ気持ちでやって欲しいと思っています。古くからの会社なので、社員は考える前に動くタイプでした。これからは研修が必要と思っています。
この事業は貸倒のリスクがある。金利計算がわからないとすべての利益が吹っ飛んでしまうので、その辺の理解が必要です。

― ― 所長から御社に限らず、得意先様の会社の分析をさせていただいていますが、どういう風に役に立っていますか?

社長:考え方を教えてくれるので、大変参考になり事業に役立っています。どこのポイントを見ているのか参考になります。

しかしながら、過去に得意先の事前の決算書は良かったが、悪いウワサが立っていたことを営業担当者が感じとらなければならなかったことで失敗した経験があります。そこから学ばなくてはならない。過去の教訓を生かさなくてはなりません。
掛売で商売をするということは、決算書を読めるようになることと言っても過言ではありません。

例えば中洲へ行くと、この人にドンペリを出すかどうか、つまり掛売してよいかどうか、はお客の名刺で決まる。
決算書を読めるかどうかということはそういうこと。差し出されたものでまずは判断をしなければなりません。さらに会社へ行けば、受付の出方などから儲かっているかどうかわかる。信用があるかどうかわかる。社長よりも従業員の方から、よくわかったりします。

― ― 事業を承継して経営の念頭に置いていることはなんでしょうか?

社長:負債を早くなくしたい。返済優先です。従来からすれば負債は減っています。負債を減らすに当たって、連結納税をしてもらっているが、それは非常に助かっています。

― ― 当事務所で記帳代行をさせていただいていますが、変わった点はありますか?

社長:昔からの社内において仕事の積み重ねがなかったので、きっちりしたかった。資料を探すのに時間をとられていた。やっつけ作業だったところを、社内の書類整理をしました。昔の慣習は5、6年すれば変わるでしょう。人が変わらない限り変わらないと思っています。

― ― どういう会社にしたいという理想はありますか?

社長:まずは人を教育していきたいと思います。経営者と従業員では意識が違い過ぎるのは仕方ないかもしれませんが、教育をしていこうと思っています。

視野を広く持ってほしい。

私は大手会社と会計事務所でお世話になってきたので、いろんな見方ができます。しかし、そんなことがなければ、今頃、同業者としか話をしなかったと思います。それに昔は夜の営業(接待)が盛んでしたが、今は時代が違います。いろんな視点から物事を見ることができる人に育てたい。

― ― 書類の電子化、クラウド管理を考えていらっしゃるようですが。

社長:人数を減らして効率化したいと思っています。今は社内の書類整理基準がありません。その辺りからも改革が必要です。メールがまだできない社員もいます。得意先とのやりとりに時間がかかっている場合もあります。そんな中、若い人はパソコンができるので期待できる。先を見たら果てしないですが、少しずつやっているところです。

― ― 本日はありがとうございました。

【所長コメント】

お父様の故吉村彰博会長と、私の親父は、早稲田大学商学部の同窓ということで、長年ごひいきにして頂きました。そのご縁で、吉村太輔社長は、一時、親父時代の事務所で働かれていました。中国の上海に、太輔社長と会計事務所、現地視察でご一緒したこともあります。

連結納税は、うちの事務所としても最初の事例で、当初は連結ソフトもなく手書きでの申告でした。
その後、エクセルで連結プログラムを作って申告していましたが、毎年、何十枚もの申告用紙が改正となるため、現在では、連結専用ソフトを使用しています。
会長の相続税調査も終了し、現在は、記帳作業・申告業務のほかに、若手社員の研修のお手伝いもさせて頂いています。