やりたいときにできる会社にしておきたい。社員が安心して働ける会社

川添石油株式会社様の本音インタビュー

川添石油株式会社様は平成28年9月より第58期になります。お父様が創業され、4代目社長として会社を引き継いでいらっしゃる川添社長に、経営についてお話を伺いました。

当事務所とは10年以上のお付き合いになりますが、子会社である株式会社アクアショップカワゾエ様との連結申告をさせていただいております。また、毎年、川添社長に事務所にお越しいただき、1日かけて経営計画書を一緒に作成させていただいております。大変数字に明るい社長でいらっしゃいます。また、常に周りの方に感謝し、周りの方の幸せを喜ばれている社長でいらっしゃいます。

― ― 会社を継続していくというは大変難しいことであり、5年ほどで消えて行く会社も多数見受けられます。そんな世の中において、次に繋いでいく経営を続けていくのには、どのような点に心がけていらっしゃいますでしょうか。

川添社長:会社は預かりものです。自分のものではありません。引き継いで行くことを考えなければなりません。そのため心がけている一つ目は「身の丈の経営」をするということです。これは大切なことです。自分の実力を知って、身の丈に合った経営を心掛けることです。

二つ目は目標設定をすることです。その目標に対して、毎月実績を照らし合わせてみていきますが、目標に対して、少ないところ、多いところを見ていきます。たとえば、経費が何に多くかかったのか、少なかったら何をしていないのか、去年と比べてどうなのか、これを常に比較しています。そうするとひとつずつ納得できます。僅かな数値の違いは気にしませんが、10%以上も違うのは常に気にしています。それを確認するのが大切です。

― ― 社長はよく頭に数字が入っていますね。なぜ部門がたくさんあるのに、そんなに頭に数字が入っているのでしょうか。

川添社長:ちょっと気になるところがあると、確認する。どこが強みかを弱みかを見る。ここだけは下がってはいけない箇所を抑えておく。そこがわずかでも下がると気になります。ここはそれほど重要でないと思ったら、大きく違ってもOK。そういう風に数字を見ています。

― ― そうやって計画と実績を見て行って、次に打つ手というのを考えると思いますが、気になるところが弱くなっていたときに、次に打つ手を考える経営判断とする情報は何によっているのでしょうか。

川添社長:それはまずは新聞です。それから、人に話して返ってきた言葉やちょっとしたテレビの言葉などから情報を得ています。

― ― 確かに社長はいろんな方と話しをされていらっしゃるのがお見受けできます。先ほども社員さん方が昼食を取っていらっしゃる輪に入って話しかけていらっしゃいました。それも何か情報を得ようと思ってからの行動でしょうか。

川添社長:昔からの社内において仕事の積み重ねがなかったので、きっちりしたかった。資料を探すのに時間をとられていた。やっつけ作業だったところを、社内の書類整理をしました。昔の慣習は5、6年すれば変わるでしょう。人が変わらない限り変わらないと思っています。

― ― どういう会社にしたいという理想はありますか?

川添社長:いいえ、ただの寂しがり屋です。家に帰ると家内としゃべりますが、家内は空気のような存在です。空気は存在しますが、気にならない。だけど必要。空気には有難みが感じられない。

だけど、ないと困る。いるだけで安心感があります。家内が見たテレビや、読んだ新聞の情報がとてもためになっています。自分と関係のある情報を投げてくれる。それはありがたいことです。お父さんだとこの情報は気になると思うよ、と情報を教えてくれるのです。

― ― 奥様ととても仲が良いです。ところで、川添社長は納めるものは納めて内部留保をされていらっしゃいますが、税金についてどう思っていらっしゃるのでしょうか。

川添社長:決まったことは納めなくてはならないし、世の中のために使ってほしい。寄付もしているが役に立てばとても嬉しい。

― ― きっぱりと払う態度がとても素晴らしいと思っています。

川添社長:感謝する気持ちがある人ほど感動する。感謝しきらない人は感動もしない。ありがたいと思うから感動もする。ありがたいと思わない人は感動もしない。世の中一人で生きていると思っているような人が感動するはずがないでしょう。仏教の教えで、一人で喜ぶのは随喜、歓喜するのは二人以上といいます。

― ― 川添社長は会社のことだけでなく、自分だけの利益ではなくて、いろんな周りの人の利益を考え、いろんな人に感謝をされているし、いろんな人とつながっていることを感じます。

川添社長:家内から言われることがあります。人のよかった話を一生懸命すると、お父さん、なんで関係ない人のことを喜ぶの、と言われます。良いことは嬉しいですよね。

― ― 社長のそういう態度が経営に現れてきているように感じられます。

川添社長:人が悲しい思いをしているのはイヤです。みんなが幸せだったら嬉しいし、そうかといって、なんもしないのに棚から牡丹餅で儲かって喜んでいるのはおかしい。頑張った人がプラスに儲かるのはいいのではないか。努力もしないのに、プラスがあるのは不公平。頑張った人が良くなる、だからがんばれ。がんばったらつぶれない会社にしたい。頑張ったらずっと継続していける会社にしたい。がんばったらがんばっただけ、返ってくるというのが理想です。

― ― 最後に今後の展望をお聞かせください。

川添社長:事業承継がうまくいくように願っています。それまでにしなくてはならないことがあります。彼(息子様である川添直幹常務)を助けるフォローしてくれる人材を育て、みんなが安心して仕事ができるように、楽しく仕事ができるようにする、それが目標ですね。そのためには企業が安定しておかなくてはならない。今はその過程だから厳しいかもしれないが、先のために会社にお金を残しておく。それが目標ですね。

だから、社員に言います。儲かっているけど、私が取っているのではない、会社にしっかり残っているよ、みんなが安心して働ける基礎になるからね、と。
昔こういうことがやりたいと思ってもお金がなくてやれなかったことがたくさんありました。今がチャンスというときに金がない。銀行はそんなに貸さない。そうことがあったから、やりたいときにできる会社にしておきたい。社員が安心して働ける会社。家族も安心できる。今はそのための過程の段階ですね。

― ― だいぶ安定していると思いますが

川添社長:これはみんなの力だから。方向性を間違わせないのが私の役目。有難いことに天も味方してくれる。うまくここまでやれたと思う。ほどほど苦労した甲斐がありました。うまくおかげさまでやってこられました。だけど、常に心配。心配だから次の手を打とうとする。加藤清正は心配性だったらしいです。だから城も作ったし、治水も作った。良いコメが作れるようにしたりした。心配性だから先手を打つんです。

― ― 本日はありがとうございました。社長が寂しがり屋で心配性ということも良くわかりました。

【所長コメント】

川添英樹社長の1期目より、経営計画、会計・申告業務をさせて頂いています。毎月、計画と実績の予実表により、お打合せをしています。全社で11部門あり、川添社長は各部門ごとの数字が頭に入っており、2時間ぶっ通しで、さまざまなことをお話しされます。

毎年、経営計画作成のため、決算月の8月に事務所に見えられ、1日かけて、部門ごとの詳細な経費計画を作成しています。
出光興産時代には創業者の出光佐三さんとも直にお会いされ、経営理念の原点は、川添石油創業者のお父様と、出光佐三さんにあるようです。
休みの日に、ご夫婦で行かれる温泉をとても楽しみにされています。