
元国税調査官の大村大次郎さんの新刊です。著書に『億万長者は税金を払わない』『あらゆる領収書は経費で落とせる』等多くあります。今回はタイトルに「財務書の秘密警察」とあったため、そんなものがあったかなと思い、読んでみました。安倍首相が最も恐れた日本の闇とは、なんと国税庁のことでした。
国税庁は財務省の秘密警察ともいえる存在としています。国税庁の持つ徴税権は、警察よりも強いとされます。国税調査官には「質問検査権」という国家権力を与えられており、国民にこれを拒絶する権利はありません。
消費税の減税の是非を問われていますが、そもそも消費税は「貧富の差を拡大する」という性質があり、それが消費税最大の欠陥だとしています。例えば、年収1億円の人が3千万円を消費に回した場合、年収に対する消費税負担割合は3%になります。一方、年収200万円の人はほとんどが消費に回るとすると、消費税負担割合は10%となります。これが消費税の実態です。そのため、間接税を導入している国、イギリスでは食料品・飲料水は0%(標準税率20%)、フランスで食料品は5.5%(標準税率20%)と低所得者、零細事業者に様々な配慮をしているそうです(日本では、飲食料品と新聞については 8%の「軽減税率」が 適用)。
安部首相は消費税が10%に上がるのを、財務省の意向に逆らって2014年と2016年と2回延期しています。そして、朝日新聞がリークした森友、加計問題で安部首相の政治生命を縮め、結果として財務省の消費税増税をアシストしたとしています。そもそも消費税導入当時、最も反対していたのは朝日新聞だそうです。消費税の最大の欠陥である貧困層ほど「収入に対する税負担」が大きくなる逆進性を強調し、消費税導入を批判していました。
朝日新聞は、2005年、2007年、2009年、2012年の税務調査で重大な課税洩れを指摘されたことが報じられており、2009年2月、申告洩れは5億円と報道されています。2012年3月31日の朝日新聞の社説では、「やはり消費税増税は必要だ」と強力な消費税増税派に変わっています。新聞が8%に設定されているのは、財務省からのご褒美ではないかと著者は疑っています。